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導入
今回から4回にわたり、仮定法を勉強していきます。
仮定法とは「もしも~なら・・・」のニュアンスの表現です。
過去に関する「もしも」と
現在に関する「もしも」
をまず学習します。 頑張っていきましょう!
概要
まず、中学で習った「If」の文章を思い出してみましょう。
A:俺、朝から何も食べていないんだ。(Aの英訳略)
B:お腹がすいているのなら、このパンをあげるよ。
If you are hungry ,I‘ll give this bread.
*条件を表す「if」の文中では、これから先(未来)のことをいうときでも動詞は現在形にする。
上記の例文は「もしも・・」のニュアンスなのですが、仮定法とは呼びませんでした。
なぜ仮定法と呼ばれなかったのか?
(ただし、最終的には「呼び方が違うだけでとても関係がある」という結論は後々お話しします。)
それは、仮定法は「もし~なら」の内容が「本当とは違う話」や「あり得ない話」のときにそう呼ふことと定義しているからです。
上記例文をもう一度見てください。
A君の言い方を聞けば「A君は今お腹がすいているのだな」と誰もが思いますし、A君自身もほぼ確実にお腹がすいていると自覚していると思われます。
ですので、この例文の「もしも」は「本当とは違う話」や「あり得ない話」ではないので仮定法とは呼ばれなかったのです。
では仮定法を実感していただくために次の文章を見てみましょう。
この渋滞なんとかならないかなあ。
(英訳略)
もし翼があればビーチまで飛んでいくのに。
If I had wings ,I would fly the beach.
<この例文の特徴>
・あり得ない内容の「もしも」・・ 人に翼がついている
・現在のことを言っているが、動詞は過去形(1時制前)を使っている。
このような文を仮定法過去と呼びます。
「1時制前」を使うのは何か意味があってそうなったのですか?
本当の話と区別するための「距離感」を作る仕組みとして自然に出来上がった、と理解しておけばいいよ。
ネイティブも厚みのある表現をするために工夫したんだね。
先生、そうしますと
「依頼」するときの Can you~? を
丁寧な言い方にすると Could you~?
っていうのも、過去形にして距離感を作って丁寧な意味を生み出したということなんですかね。
日本語には敬語があるけど、英語圏の人はそうやって工夫したんだね!
それでは本格的に仮定法の内容に入っていきましょう。
次に一覧図を掲載しておいたので、理解の助けに使ってください。
過去に対する仮定(仮定法過去完了)
最終的な頭の中でのまとまりやすさを考えて、仮定法過去完了からご説明することにします。 要点は次の表のとおりです。
(本当は違うけれども)もし(あの時)~なら、(その時)・・・だっただろう。
If S + had+p.p. ~, S + 助動詞(過)+ have + Vp.p. ・・・ .
*〔話の内容の時制〕if節=過去の話、主文=過去の話
*〔表現上の時制〕 if節=大過去、 主文=大過去
*大過去とは過去時制の更に前の過去を表す概念です。
*主文は主語が考えている「可能性度合」が織り込まれるのでwillやmayの過去形が使われ、その後に「had+p.p.」の形がくるのですが、助動詞の後ろは原形Vの原則があるので、
結局、 would(might) have p.p. の形となる。
If I had known about your illness, I would have visited you.
もし私があなたの病気について知っていたら、お見舞いに行ったのに。
* 可能性 would > might
* visit には文脈により「お見舞いする」のニュアンスがある。
現在に対する仮定(仮定法過去)
(本当は違うけれども)もしも(今)~なら、(今)・・・だろう。
If S + V(過去形) ~, S + 助動詞(過)+ 原形V ・・・ .
〔were〕
*〔話の内容の時制〕if節=現在の話、主文=現在の話
*〔表現上の時制〕 if節=過去、 主文=過去
*if節の動詞がbe動詞の時は主語に関係なく一律に〔were〕をとります。
If I had much money, I would buy the house.
私がたくさんお金を持っていたなら、その家を買うだろうに。
もし私が鳥ならば、あなたのところに飛んでいくのに。
仮定法:混合型(If- 過去話, 主文- 今話)
(本当は違うけれども)もしも(あの時)~なら、(今)・・・だろう。
If S + had p.p. ~, S + 助動詞(過)+ 原形V ・・・ .
If he had taken the bus , he would not be alive now.
彼が(あの時)バスに乗っていれば、今頃彼は生きていないだろう。
* now と、はっきりとした時が示されているので、主文の方の時制確定を優先しよう。
If I had studied harder at that time, I would be a college student.
あの時、より一生懸命に勉強していれば、私は大学生だったろうに。
* at that time と、はっきりとした時が示されているので、If節の方の時制確定を優先しよう。
if it were not for 名詞, ・・ (熟語)
仮定法の熟語として「if it were not for 名詞. ・・」「もし (名詞) がなければ・・・だろう」をご紹介します。
仮定法過去(現在の事実に反すること)〔if 現在話,現在話〕
If it were not for ~,S 助動詞(過去形) V(原形) .
仮定法過去完了(過去の事実に反すること)〔if 過去話,過去話〕
If it had not been for ~,S 助動詞(過去形) have V(p.p.) .
仮定法混合形(過去の事実に反すること)〔if 過去話,現在話〕
If it had not been for ~,S 助動詞(過去形) V(原形) .
If it were not for air, man could not live.
もし空気がなければ、人間は生きることができないでしょう。
If it had not been for his advice, they could not have succeeded.
もし彼の忠告がなかったら、彼らは成功することができなかったでしょう。
If it had not been for her devoted nursing, I would not be living now. もし彼女の献身的な看護がなかったら、私は今生きていないだろう。
(譲歩)even if~;たとえ~でも
(譲歩)even if~;たとえ~でも
Tom won the game easily.(トムは簡単にその試合に勝ってしまった。)
Even if he hadn’t practiced, he still would have won.
(たとえ彼が練習しなかったとしても、それでも彼は勝っているだろう。)
もちろん仮定法ではない文も作ることができます。
Even if you don’t like it, you must do it.
たとえ嫌でも、君はそれをしなければならない。
まとめ
今回は仮定法の初回で、接続詞ifを使った形を学びました。 内容は3種類ありましたね。
①過去に対する仮定
②現在に対する仮定
③ ①と②を混合した仮定
また、熟語「If it were not for ~, 」「If it had not been for ~,」や「 even if 」も紹介しました。
説明と例文は全て「 If ~, 主文・・・.」の順番のものを使っていますが、
逆の「 主文・・・ if ~.」の形もありますので、
どちらが来ても戸惑わないように問題をたくさん解いてみましょう。
それでは。