高校

時制(2) : (過去・現在・未来) 完了形・完了進行形

導入

今日は2部に分けてお話します。

第1部は3つの「完了形」をみていきます。
具体的には、❶過去完了形、❷現在完了形、❸未来完了形です。
(上掲表と❶❷が付合しませんことをお許しください)
時制的に「いつの話であるか」を特定できる「基準」の有無がポイントになります。

第2部は「完了進行形」です。
第1部の「完了形」にもう少し「ずっと~している(継続)」のニュアンスを強調したいときに使う表現です。

2部構成でボリュームがありますが、頑張っていきましょう!

第1部:完了形の形

完了形の全貌

Ben
Ben
まず、完了形のイメージ図を見てください。
完了形イメージ図

*p.p. = Past Participle = 過去分詞

現在完了形は中学で学習しましたね。
形としてはhave(has)+p.p.でした。
意味的には3つありましたね。それは、継続経験完了でした。

現在完了形(中学)の復習したい人はこちらをどうぞ。
〔継続〕
〔経験〕
〔完了〕

高校では〔過去完了形〕〔未来完了形〕が追加されます。

形としてはイメージ図に記載した通りですが、中学(現在完了形)では意識する必要のなかった「どの時点まで」を明らかになる具体的「基準」の存在が文内に必要になります。

代表的基準は「by;~までに」があります。

中学の時に習った現在完了形ですが、「基準」つまり「どこまでに完了する話か」は「現在」であることが明確です。ですので、わざわざ文章内に「基準」を明示する必要がなかったのです。

したがって、「基準」について意識する必要はありませんでした。

過去と未来の完了形にする場合は、〔「完了形」に本来必要であった「基準」が明示されていて初めて完了形の形をとることができる〕ことをしっかり意識しておきましょう。

トラ
トラ
これ、よく狙われる
主文は過去完了形にはせず、過去形にしてニャ!

《 過去完了形の【基準】となりえない例
when I was a child
私が子どもの時 ← 時間幅がありすぎ。「子ども」の定義が曖昧。

過去完了形へのフォーカス

過去完了形は現在完了形を応用すればOKです。
一覧表にすると次のようにまとめることができます。

過去完了形
[ had + p.p. ]
<継続>(ずっと)~していた
    目印:for, since 等
<経験>~したことがあった
    目印:ever, never, times 等
<完了>~してしまっていた
    目印:already,yet 等
<大過去>~した

She has lived in five countries.
彼女は5か国に住んだことがある。現在完了(経験)

She had lived in five countries by the age of 18.
彼女は18歳になるまでに5か国に住んだことがあった。過去完了(経験)

コツ:文章中には2つの過去が表現されています。
1つは「5か国に住んだことがある」、
もう1つは「18歳になるまでに」

後者は「基準」です。過去の時間軸の中でも古いところから新しい過去までを含んでいます。

過去完了形を考える際のコツは次の通りです。

それは時間軸上でより古い方を「had+p.p.」で表せばよい、ということです。

そうすれば、「基準」はどちらになるかも自然にわかります。

(2つの異なる過去がある場合、より古い方を「had+p.p.」にする) 是非覚えておきましょう!そうすると自然な文に収まってきます。

大過去

「大過去」が気になっている人がいると思いますので、説明しておきます。

「大過去」は「had+p.p.」の形で出てきますが、完了形の意味(継続・経験・完了)ではなく、
時制のお話の中では、単に「更に過去」を表現する必要があるときに使われる形です。

Yesterday I returned the book that I had borrowed from Erika.
昨日私はエリカから借りた本を返した。

ミケ
ミケ
過去の単純2点だ。完了形であった時間幅がないね。

Ben
Ben
「大過去」の考えは後に学習する「仮定法」でより重要となります。 仮定法は非現実のニュアンスを一つ前の時制を使って表現します。したがって、「仮定法過去」であれば過去の一つ前の時制は「大過去」を使って表現していくことになります。 またの機会に詳しくご説明しますね。

第1部:完了形の問題を解いて確認してみよう 

【Q】 次の文は文法的に成立するか。
成立する場合には()内に〇を、成立しない場合には()内に×をいれなさい。
また、×となった文章は文法的に成立する形に変えなさい。

①( )I had lived here for five years.
②( )I have lived here for five years.
③( )I will have lived here for five years.

解答・解説の案内
【A】
①(×
for five years という期間は分かるが、その期間がどの5年間なのか確定されていない(=基準が示されていない)。したがって過去完了形にするには不完全となり×である。

変形例
・I lived here for five years.〔過去完了形にするのは諦めて → 過去形にした。〕
・I had lived here for five years by that time. (私はその時までに5年間ここに住んでいました。)
〔by that time という過去基準を設けて→ 過去完了形を成立させた。〕

②(
現在完了形は自動的に「現在までで」という意味が含まれているので、「基準」の表記がなくても文法的に成立する。

③(×
①と同様の趣旨で×

変形例
・I will live here for five years.〔未来完了形にするのは諦めて → 未来形にした。〕
・I will have lived here for five years by the end of next month.
(私は来月末までで5年間ここに住むことになります。)
〔by the end of next month という未来基準を設けて→ 未来完了形を成立させた。〕

Ben
Ben
次に完了進行形を見ていきます。 頑張ってくださいね。

第2部:完了進行形の形

完了進行形は第1部で学習した「完了形」と「進行形」が一つになった形です。

「現在形」を例にして説明します。

現在完了形 = have + p.p.
現在進行形 = be動詞 + Ving   *Ving = 動詞のing形

     ⇓

「現在完了進行形」have been Ving

以上が現在完了進行形ですが、これ以外に過去形と未来形もあります。

まとめますと、次の通りです。

完了進行形の形

過去完了進行形 → had been Ving
現在完了進行形 → have been Ving
未来完了進行形 → will have been Ving

第2部:完了形と完了進行形の違い

完了形と完了進行形の関係は次のとおりです。

【 完了形 ≧ 完了進行形 】(ちょっと数学的ですが・・)

完了進行形は「ずっと~している(継続)」のニュアンスを強調したいときに使います。

完了進行形は<経験・完了>は無く、<継続>の意味のときのみに使われる

使うときに注意すべきこと → 進行形は動作V(動詞)しか使えないこと

第2部:完了形(完了進行形)にするかどうかの判別の仕方

Ben
Ben
完了形にするのか、さらに完了進行形にするのか迷いやすいところですが、次のように判別していきましょう

【完了形・完了進行形にするのかどうかの判別方法】

forsinceという期間を表す語句がある → 完了形の可能性あり

②さらに過去や未来のいつのことかを定める「基準」もある → 完了形で確定
(現在形は基準語句の必要はない。)

③さらに「ずっと~している(継続)」のニュアンスの強調がある → 完了進行形にする。 (ただし、進行形にできるのは動作Vのみである。)  

④ ①~③のプロセスで完了形・完了進行形にすべき と結論ずけられない場合 → 過去形・現在形・未来形又はそれらの各進行形で考える。

第2部:完了形・完了進行形の例文と問題

例文

・I will have been studied English for 6 years by next March.
(私は次の3月までで6年間英語を勉強していることになります。)
 
【未来完了形】
期間= for 6 years
基準= by next March
→ 未来完了形の形へ「will have been studied・・」

→ ずっと勉強していることを強調したいのであれば、次のようにも表現することができます。
・I will have been studying English for 6 years by next March.
【未来完了進行形】

問題

【Q】次の英文の空所に入るものを選びなさい。

Q1. When he arrived, I ( ) for two hours.

①have been waiting  ②had been waiting  ③ will have been waiting

Q2. I ( ) reading this book by the time you come tomorrow.

① had finished  ② have finished  ③ will have finished

解答・解説の案内【A】
Q1
期間 = for two hours
基準 = When he arrived

①は現在形、③は未来形で不適。
②は まず、過去形で選択肢としてよさそう。さらに「期間」と「基準」が明確となっているうえ、waitは動作動詞である。したがって過去完了進行形でOKなので、これが正解。

問題文は次のように表現されていてもよい。
When he arrived, I (had waited) for two hours.

Q2
期間 = 明確な語句は表面上なし(文面から、「現在から明日あなたが来る時まで」が「期間」であることを読み取ろう。
基準 = by the time you come tomorrow

つまり、期間と基準は同じだったということ。

①は過去(完了)形、②は現在(完了)形で不適。
③は未来完了形で文意に合致する。

問題文は次のように表現されていてもよい。
I ( will have been finishing ) reading this book by the time you come tomorrow.

 

まとめ

 まとめますと、第1部では(過去・現在・未来)完了形を学びました。
完了形にするには「期間」とその期間が確定できる「基準」の存在が必要でした。
ただし、現在完了形については「基準」が現在にあることが明確であるため、その語句の存在は必ずしも必要ありませんでした。

第2部では第1部で習った完了形に進行形を付け足した(過去・現在・未来)完了進行形を学びました。 両者は同じ意味ですが「ずっと~している」ことを強調したい時は完了進行形を使うことができましたね。ただし、(完了)進行形にできるのは動作動詞のみです。

今回はちょっと量が多かったかもしれません。お疲れ様でした。よく復習ておきましょう。

付録(問題演習)

次の英文の空所に入れるのに最も適切な語を選びなさい。

【1】

He ( ) ill for a week when he was sent to the hospital.

①is  ②was  ③ has been  ④ had been

答え ④had been

He ( ④had been ) ill for a week when he was sent to the hospital.
彼が病院へ送られたとき、彼は1週間ずっと病気であった。

when以下の文が「for a week」という期間を確定させる「基準」となっているので、過去完了形の④が最も適切。

【2】

She has worn the same hat (  ).
① two years ago ② when I met her ③ for a month ④ just now

答え ③ for a month

She has worn the same hat ( for a month ).
彼女は1か月の間ずっと同じ帽子をかぶっている。

① two years ago → この場合は過去形でなければならない。
② when I met her → 同上

③ for a month → これは「期間」を表すことばである。本文は現在完了形なので意味が合う。現在完了形は、いつのことであるかを確定させる「基準」は不要。よって③が正解。

just now は

「ちょうど今」→ 現在形で、

「たった今」「今しがた」→ 過去形 !! 

で表す表現であることに注意しましょう。
(=完了形の文には使われない。)

just now ・・ 過去形表現もある!

現在形:ちょうど今
He isn’t here just now.
彼はちょうど席を外しています。

過去形:たった今、ついさっき、今しがた
I talked to her just now.
たった今彼女と話をしたばかりだ。

ABOUT ME
Benタロサ
サラリーマンを経て、小さな学習塾を開校。英語は日常触れる機会が少ない生徒にとっては、地道な努力が必要とされる教科だと思います。せっかく勉強してもすぐに忘れてしまうことになりかねません。少しでもお役にたてるように、わかりやすさを心掛けて記事を書いていきます。内容はアットランダムな順番になります。少しずつの積み重ねで、ゆくゆくは分厚いサイトになればと夢見ています。